ホーウィン訪問記パート3 (2019)

「台風とはいえ、進路も外れているし、大丈夫そうだな」そう思いながらも、過去羽田に前泊して事なきを得た経験があったので、念の為ANAに電話してみました。「乗り継ぎもギリギリですので、1時間早いフライトに変更致しましょうか?」ということで、朝4時起きで家を出ることに決め、早々にベッドに潜り込んだのでした。

ところが、夜中から猛烈な雨と風。。。それも今まで聞いたことないくらいの轟音で、強烈な風が吹いているではないですか!夜中に眠れず一度見に行き、再び音が激しくなるのを聞いているとその後寝付けず、真夜中にもう一度見に行くと、庭に置いてあるガーデニングの屋根が壊れてえらいことになっているではないですか。。。慌てて壊れた屋根を外して片付け。。。そんなこんなでほとんど眠れず、フラフラになりながら伊丹から羽田へ移動です。😭

羽田に着いてからお迎えのレクサスに乗り込んでしばらく行くと、政府専用機が2機停まっています。後で分かりましたが、安倍さんもちょうど同じ日にアメリカへ飛んでいたんですね!ようやく国際便に乗り込み、とりあえずゆっくり食事を楽しみます。今回はデザートのモンブランが超絶美味しかったので、朝ごはんのデザートにモンブランをお代わりです。到着前の抹茶も美味しかったです。☺️

アメリカに到着してから2件ほど仕事をこなし、いよいよホーウィン訪問です。今回で3回目の訪問ですが、今回は事情があって大人数でお邪魔させていただくことになりました。

早く到着してしまい、しばらく待つと副社長のニックがやってきました。前回は急な出張で会えなかったので、3年ぶりでしょうか。まずは持ってきたお土産を渡し、大人数を前に色々と説明してくれました。今回初めて聞いた話でしたが、Horween家は1893年にウクライナからやってきたそうです。ウクライナにいた時からタンナーをやっていて、ポーランド人など東欧系の多いシカゴに移り住みます。当初はしばらく他所のタンナーで働いていたそうですが、1905年に独立。その後、倉庫として使っていた今の場所に1921年頃移り現在に至りますが、シカゴで残っているのはHorweenだけ、全米でも10社くらいしか残っていないそうです。シカゴはアメリカの中央部にあって家畜などを屠殺して副産物として出る原皮を仕入れやすかったようですね。

説明の後、2グループに分かれて最初のグループはニックが、次のグループは社長のSkipが連れて行ってくれますが、「ちょうど今社長は電話中なので、後から一緒に来てね」と言われて待ちますが、10分経っても出てきません。。。ようやく電話が終わったな、と思ったところに社長がいつもの調子で現れ、「やあ久しぶりだね、うん、覚えてるよ。そうそう、俺のカラー4のシューホーンを買っていった君だね!」ということで社長室に入れてもらい、「この緑のは新色だよ。名前?まだ決まってないな、というか、次また同じ色が出せれば、商品化するかもね。笑」ということで見せてもらったのは2枚の緑色のコードバンです。「まだ誰にも見せてないんだよ。こっちは手もみして柔らかい履き心地のコードバンを作ろうとしてるんだよ」と言いながらしぼ革になったコードバンも見せてくれました。まるで実験室です。笑

「さあ工場に行こうか」ということでいつものルートで工場見学です。原皮は前回も聞いた通り、フランスや、カナダのフランス語圏であるモントリオールやケベックなどから仕入れます。馬肉を食べる文化のある国、地域から馬肉を取った後の不要となった原皮を仕入れるんですね。カウハイド、カーフについても、同様で、革を作るために動物を殺すということはないようです。

表面の毛を取る機械にかけた後、植物性タンニンが染み込みやすいように酸に漬け込みます。「ほら、指で押してみると凹んだまま戻ってこないだろ。これだけふんわり柔らかくなるんだ」

この後は樫の木の皮などから作られた液体に付け込まれ、1次なめしが行われます。ここで60日間かけてじっくりと鞣していきます。「うちのやり方は、昔からある伝統的なやり方で、ゆっくり時間をかけてやるんだ。ほら、紅茶のティーバッグをお湯に入れると中の成分がじわじわ出てくるだろ?あれの逆で、紅茶の中に真っ白なティーバッグを入れるとじわじわ染み込んでいくように、ゆっくりと時間をかけて浸透させていくんだよ」なんか前回聞いた時と言い方が違う気がしましたが、とにかく時間をかけてゆっくりと鞣すんですね。笑

鞣されたあと、おおよそのコードバンの部分がわかりますので、そこで丸く大雑把に切り出します。長く切り取られたハギレはベルトなどに、それ以外の小さなハギレはスクラップです。

今度はこれを90日間かけて二次鞣しです。オイルなどを染み込ませる工程もここで行われます。鞣しが完了すると、表面を機械でシェービングしていきます。目でコードバン層を確認しながら、足で機械を操作するんですが、ここが一番難しい作業のようです。「ほら、シェービングする前はザラザラだろ?コードバン層を表出させたこっち側はツルツルだ」

コードバン層が出た後は、染色、そして艶出しです。機械でガッチャガッチャやるあれですね。

「これはラベロだよ。ほら、最高にツルツルだろ?」これを見てしまうと、やはりカーフの靴は履けませんよね、ほんとに。。。😅


「さあ、みんなもサインしてね」ということで大人数でぞろぞろとサインをして記念撮影です。

ところで、今回印象的な出来事が。。。「君、良い時計してるね」と社長が僕のサブに気づいて言うので、「社長もVintage Rolex、お好きなんですか?」と尋ねると、実は亡くなった先代が金無垢のロレックスを持っていたそうで、恐らく想像するに50〜60年代のデイデイトやデイトジャストか、もしかしたら40年代のバブルバックだったのかも?、ですが、現社長のSkipは金無垢が好きになれず、数回しか使わなかったそうです。それで知り合いのビンテージロレックスを扱っているお店に相談して、ビンテージサブ2本と交換、1本ずつ息子のニックと、乗馬をやっている娘さんに譲ったそうです。そう、ニックが以前パネライをしていたのに、今回はサブをつけていたので、気になっていたんですよね。良いお話です。☺️

「現像?いやシカゴにはやってるところもう無いんだよ。アラバマまで送るんだ」ということで、ニックのカメラコレクションや現像したフィルムを見せてもらいました。ライカのM3, M2, ニコンのFM3aなどが並んでいます。流石です。😄

「遠いところ来てくれて、お土産もありがとう!また来てね!」ということで最後にナチュラルコードバンのハギレを一人一人もらって工場見学終了です。当初、オールデンのことやホーウィンのこともあまり詳しく知らないという団体だったんですが、工場見学の後はまったく目の色が変わってしまい、すっかりホーウィンファンになった様子でした。笑

ホーウィンの後は直ぐ近くにあるAshland Leatherに立ち寄り、お連れさん達のお買い物のお手伝いです。ホーウィンの従業員で創業者の弟さんであるMattが店を切り盛りしています。ていうか、問い合わせてわかりましたが、一応実店舗というか、彼らの工房だそうで、弟のMattは昼間ここにいますが、お兄さんはホーウィンで仕事が終わった後にやってきて一緒に試作品を作ったり、土日に製品づくりをしているようです。ホーウィン家とも子供の頃からの付き合いのようですね。最後にお土産のキーホルダを全員にプレゼントしてくれました。😆

夕食前にLeffotに立ち寄ります。ニックからも連絡してくれていて、大勢で行くというと、応援を頼んで待ってくれていました。シカゴのLeffotはシカゴでも有名なMonadnock Buildingという建物の中にあり、ホーウィンのニックによると、煉瓦造りのビルとしては世界で一番高いそうです。1800年代後半に建てられた建物で、雰囲気の良いところに店を構えています。

こじんまりとしていますが、オールデンやクライス等がオシャレにレイアウトされた店内でワイワイ言いながら試着をしているのを脇目に、僕の方はクライスのバーボンのベルトを試着。通常の30mmよりもカジュアルよりの35mmなんですが、チノパンやジーンズにはめちゃくちゃ合いそうです。これ買うよ、と言うと、大勢お客さん連れてきて一気に5足ぐらい売れたので、お礼に2割引きにしておくよ、とのことでした。ありがとうSean!😆

その後は、いつものJoe’sでステーキです。ストーンクラブとクラブビスク、Tボーンが最高に美味いレストランで、みんなでオールデン、ホーウィンの話で盛り上がりました。次は来年でしょうか?今度はもっとビンテージロレックスの話をしてみたいと思います。☺️

0コメント

  • 1000 / 1000